わたしものがたり

ある夜、わたしは物語のように記録を書いたら素敵かな、と思った。

2024年4月21日 日曜日 13時00分

美容院のドアをくぐる。
この瞬間は緊張する。
おしゃれでないわたしには場違いと思ってしまう。
案内されるがままに、わたしはぎごちなく席に座った。

オーダーも苦手だ。
おしゃれな用語も、どうしたらおしゃれになるのかもわからないからだ。
適当にお願いする。

少し会話をしながら、ショキショキという音が続く。
そして、あっという間にできたらしい。

わたしは鏡を見て確認をした。
まるで別人のように、返信した自分がそこにいた。
適当なオーダーで、こんなに好みにしてくれる美容師に感心しつつ、わたしは温かく、ウキウキしたような気持ちでこう思った。

「また、まだ、人生、頑張ろう」

 

2024年4月19日 金曜日 21時00分

そう人生はうまくいかない。
画面に並ぶ「はずれ」の文字をスクロールし、そう実感した。

昨日、わたしはなにかの気が向いて、くじを購入していた。
今、それらのすべてがはずれであったことがわかったのだった。

まったく、わたしは対してお金に恵まれているわけでもないのに、何をやっているんだろう。
そんなことに使うよりも、今、しきりに言われている投資でもしたほうがましではないか。

2度と買うまい。
大いに後悔しながら、わたしは何度目かの決意をした。

2024年4月17日 水曜日 20時24分

小一時間ほど眠ったわたしは、目を覚ますとスマートフォンを手に取った。
時刻は20時を回っていた。
中途半端な時間だ。
疲れ果てていたわたしは、朝まで眠っていたかったな、と思う。

この頃、精神的な調子が良くなかった。
それに加え、仕事も忙しい。
わたしは、疲れ果てていた。

仕事も生活も充実している人はすごいと思う。
今のわたしは、仕事だけで限界を超えて、生活は暗い部屋のベッドの上でかろうじて生存していくだけで精一杯だ。

また明日が来て、もっと布団に抱きついていたい朝がやってくる。
そして、仕事に行く。
帰って暗い部屋のベッドに戻る。
その繰り返しだ。

その繰り返しは、単調なようだが、わたしにとって精一杯の繰り返しだった。
その単調な毎日を維持するため、わたしはスマートフォンを消して目を瞑った。

2024年4月16日 火曜日 21時50分

文章を書こう。
電灯を消した暗い部屋で、わたしはベッドに横になったまま、スマートフォンを手にした。
昨日、寝る直前に、物語のように記録を書いたら楽しいのではないか、というアイディアを思いついたのだった。

このところ、またはてなブログをやろうと朧げに考えていたところだった。
ブログやSNSでやりたいことがたくさんあった。

きっと、全てが中途半端で終わる。
幾度となく、ブログやSNSを広げては閉じてきたのだ。
だから、きっと今度だってそうなる。
わかっていても、やらずにはいられなかった。

10代の頃、よく読書をしていた。
小説家を目指し、物語を書いていたこともあった。

しかし、30代になった今、物語という夢のような世界へと続く道も、小説を書くという儚い夢も、とっくに現実という濃霧の中に消え失せていた。

今、その霧が晴れたわけではない。
ただ、なんとなく、こうして文章を書くということをまた始めた。

これが運命だろうか。
「いや、気まぐれかな」
しばし、親指を静止させたのち、わたしはそう心の中でつぶやいた。

一通り打ち終えたわたしは、記事のタイトル欄に「序章」と入力した。
そして、すぐに思い直して消した。